音の瞬間

『タランタは最高!』
 さすがビセンテ!というこの一枚。
 フラメンコを初めて聴くという人は、期待していたフラメンコらしくないアルバムだと思うかもしれないが、ある程度フラメンコに精通している人、あるいはこれまでのビセンテのアルバムを聴いている人ならば、「さすがビセンテ、やってくれましたね」という作品であろう。
 このアルバムでは、アルバムのタイトル名にもなっている「音の瞬間」というタランタが最高に素晴らしい。タランタとは、もともと鉱山労働者の苦悩を表現した曲だが(わが国の炭坑節と違って暗い曲調)、ビセンテならではの繊細さと、抑制された情熱の迸りをチラチラと感じさせながら、オリジナルのタランタの世界を見事に創造している。まさしく、「音の瞬間」を、爪弾かれる弦の繊細な音と音の間にビビッと感じさせる名曲である。



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